「緑内障になると、失明することがあるのでしょうか?」
健診や眼科で緑内障を指摘されたとき、この点を心配される方は少なくありません。
結論からいうと、緑内障が進行すると視機能が大きく損なわれ、失明に至ることはあります。ただし、緑内障と診断されたすべての方が失明に至るわけではありません。
緑内障はゆっくり進行することが多く、初期には自覚症状がほとんどない場合があります。早い段階で発見し、眼科医の指示に沿って治療と定期検査を続けることが、視機能をできるだけ長く保つために重要です。
この記事では、これから検査を受ける方や、健診で「緑内障の疑い」「視神経乳頭陥凹」などを指摘されて不安な方に向けて、10年以上眼科検査に携わってきた視能訓練士の立場から、緑内障と視野の関係、検査を続ける意味をわかりやすく解説します。
緑内障で失明することはある?
緑内障は、視神経に障害が起こり、視野に特徴的な変化が現れる病気です。進行すると視野が広く失われたり、中心部の視機能に影響したりすることがあり、一部では失明に至ることもあります。
一方で、緑内障と診断されたからといって、すべての方が同じように進行するわけではありません。病気のタイプや発見された時期、眼圧、進行速度、治療への反応などによって経過は異なります。
現在の緑内障治療の基本は、眼圧を下げることで視神経障害の進行を抑えることです。
一度障害された視神経や失われた視野を、元の状態に戻すことは現在の医療では難しいとされています。
- できるだけ早く変化を見つける
- 必要な治療を継続する
- 定期検査で進行の有無を確認する
「緑内障=失明」と考えて必要以上に不安になるのではなく、現在どの程度の状態なのか、進行しているのかを検査で確認していくことが大切です。
視野はどのように欠けていく?
緑内障の視野障害の現れ方には個人差がありますが、初期には鼻側の視野や弓状の領域などに変化がみられることがあります。
片眼に視野障害があっても反対眼で補われたり、見えにくい部分を脳が補ったりするため、初期には本人が気づきにくいことがあります。
健診で「視神経乳頭陥凹」を指摘されたら
健康診断や人間ドックで「視神経乳頭陥凹が大きい」「緑内障の疑い」と指摘され、眼科を受診される方は少なくありません。
視神経乳頭陥凹が大きいという所見だけで、緑内障と診断されるわけではありません。視神経乳頭の形には個人差があり、生まれつき陥凹が大きく見える方もいます。
眼科では、主に次のような情報を組み合わせて確認します。
- 視神経乳頭の形や左右差
- 眼圧
- OCTで確認した網膜神経線維層などの厚み
- 視野検査で緑内障に特徴的な変化があるか
- 過去の検査と比べて変化しているか
なぜ定期検査が重要なのか
緑内障は、経過を追っていくことが重要な病気です。1回の検査結果だけでは、現在の状態や進行の有無を十分に判断できない場合があります。
たとえば視野検査では、以前の結果と比較することで、同じ場所の視野障害が広がっていないか、全体として変化していないかを確認します。
OCTでも、網膜神経線維層などの厚みに時間とともに変化がないかを評価します。1回ごとの数値には多少のばらつきが生じることもあるため、複数回の結果を比較することが大切です。
緑内障では、現在の数値だけを見るのではなく、「以前と比べて変化しているか」という視点が重要になります。
実際に行われる緑内障の検査
緑内障の診断や経過観察では、1つの検査だけで判断するのではなく、複数の検査結果を組み合わせて評価します。
眼圧検査
眼圧は、緑内障の発症や進行に関係する重要な因子の一つです。
ただし、眼圧が正常範囲内でも緑内障がみられることがあるため、眼圧の数値だけで緑内障の有無を判断することはできません。
眼底検査
眼底検査では、視神経乳頭の形や色、陥凹の状態などを観察します。
緑内障では視神経に特徴的な変化がみられることがあるため、診断や経過観察で重要な検査です。
OCT(光干渉断層計)
OCTでは、網膜や視神経周囲の構造を画像として確認できます。
緑内障では網膜神経線維層などが薄くなることがあるため、視野検査とあわせて構造的な変化を確認するために利用されます。
視野検査
視野検査は、実際にどの範囲が見えているかを調べる検査です。緑内障の診断だけでなく、以前の結果と比較して視野障害が進行していないかを確認するためにも重要です。
検査時間は方法や検査内容によって異なります。ハンフリー視野検査では片眼5〜10分程度が一つの目安ですが、ゴールドマン視野検査など、より広い範囲を調べる検査ではさらに時間がかかることがあります。
視野を守るために大切なこと
早期に変化を見つけ、定期検査を受け、必要な治療を継続すること。これが緑内障と長く付き合っていくうえで大切です。
緑内障の経過は一人ひとり異なります。病気のタイプや発見された時期、眼圧、治療への反応、進行速度などによって、必要な治療や検査の間隔も異なります。
「今は見えているから問題ない」と自己判断するのではなく、眼科で必要な検査を受け、以前の結果と比較しながら変化を確認していきましょう。
緑内障を指摘された場合も、必要以上に不安になるのではなく、まずは現在の状態を確認し、担当医と相談しながら治療や経過観察を続けることが大切です。

たなか|視能訓練士(ORT)
眼科医療の現場で10年以上、視力検査・視野検査・眼圧検査・眼底写真・OCTなどの眼科検査に従事。臨床経験と公的機関・学会情報をもとに、目に関する情報をできるだけ分かりやすく解説しています。
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※本記事は一般的な医療情報の提供を目的としており、個別の診断や治療を代替するものではありません。緑内障の状態や進行速度、必要な検査・治療は個人によって異なります。健診で異常を指摘された場合や、検査結果・見え方について気になることがある場合は、眼科医にご相談ください。