学校の視力検査で「B判定」「C判定」と書かれた用紙を持ち帰ると、「もうメガネが必要なの?」「近視になったの?」と心配になる方も多いと思います。
学校健診の時期には、同じような不安を抱えて眼科を受診する親御さんとお子さんが増えます。私も視能訓練士として10年以上、子どもの視力検査に携わるなかで、「今日受診したら、すぐメガネになりますか?」という質問をよく受けてきました。
学校の視力検査でB・C判定だったからといって、それだけで近視やメガネが必要と決まるわけではありません。学校の検査は、詳しい検査が必要な子どもを見つけるためのスクリーニングです。
一方で、B・C判定を「家では見えているから大丈夫」と自己判断するのもおすすめできません。近視・遠視・乱視のほか、左右の視力差や弱視などが隠れていることもあるため、受診を勧める用紙を受け取った場合は眼科で確認してもらいましょう。
この記事では、学校のA・B・C・D判定の意味、眼科で行う検査、メガネが必要かを判断する考え方、近視と診断された後の選択肢まで順に解説します。
学校の視力検査のA・B・C・D判定とは
学校の視力検査では、視力をA・B・C・Dの4段階で記録します。文部科学省の資料では、次のように区分されています。
| 判定 | 視力の目安 | 考え方 |
|---|---|---|
| A | 1.0以上 | 学校の視力検査では1.0以上の区分 |
| B | 0.7〜0.9 | 1.0未満で、遠くの細かい文字が見えにくいことがある |
| C | 0.3〜0.6 | 黒板など遠くを見る場面で見えにくさが出ることがある |
| D | 0.3未満 | 遠くの見えにくさが強い可能性があり、詳しい確認が必要 |
学校では、0.3・0.7・1.0の視標を使って区分する「370方式」と呼ばれる方法が用いられています。大切なのは、A〜Dが病名ではないということです。

また、子どもの検査結果は集中力や検査への慣れなどの影響を受けることがあります。そのため、学校と眼科で視力の数字が異なること自体は珍しいことではありません。
B判定・C判定なら眼科へ行くべき?
学校から受診を勧める用紙を受け取った場合は、普段の生活で困っていないように見えても、一度眼科で確認することをおすすめします。
B判定(0.7〜0.9)
日常生活では本人が困っていないこともありますが、遠くの細かい文字が見えにくくなっている可能性があります。近視の始まりだけでなく、乱視などが関係している場合もあるため、学校から受診を勧められたら眼科で左右それぞれの視力と屈折状態を確認します。
C判定(0.3〜0.6)
黒板や掲示物など、遠くを見る場面で見えにくさが出ている可能性があります。席を前にするだけで済ませず、近視・遠視・乱視や左右差がないかを確認することが大切です。
片目だけB・C・D判定の場合
片方の目がよく見えていると、もう片方の見えにくさを補ってしまい、本人も気づかないことがあります。左右差がある場合も、眼科で確認しておきたいポイントです。
学校の結果だけでは分からないこと|眼科で確認する理由
眼科では、学校で測った視力をもう一度確認するだけではありません。裸眼視力や矯正視力、近視・遠視・乱視などの屈折状態、左右差、眼位などを必要に応じて調べ、診察と合わせて視力が低かった原因を確認します。
近視・遠視・乱視の度数を調べる
学校の視力検査では「どの大きさまで見えたか」は分かりますが、なぜ見えにくいのかまでは分かりません。眼科では屈折検査を行い、近視・遠視・乱視の有無や程度を確認します。
必要に応じて調節の影響を除いて調べる
子どもは大人より調節力が強く、ピント合わせの働きが屈折検査の結果に影響することがあります。そのため、年齢や検査結果、眼鏡処方の目的などに応じて、調節の働きを一時的に弱める点眼薬を使用して屈折状態を確認することがあります。
日本眼科学会の「小児の眼鏡処方に関する手引き」でも、小児では調節の影響を踏まえた屈折検査が重要とされており、初めて眼鏡を作る場合だけでなく、作り直す場合も眼科で検査を受けることが勧められています。
近視以外の原因がないか確認する
視力が低い原因は近視だけではありません。遠視や乱視、弱視、斜視などが関係することもあります。また、頻度は高くありませんが、目そのものの病気が見つかることもあります。
視能訓練士は視力・屈折・眼位などの検査を行い、その検査結果と診察をもとに眼科医が原因や治療方針を判断します。
子どもを眼科へ連れて行くときの流れと準備
受診当日に行うこと
医療機関によって内容は異なりますが、一般的には視力検査、屈折検査、必要に応じた眼位検査や診察などを行います。
調節の影響を詳しく調べる必要がある場合は、点眼薬を使ってから再度屈折検査を行うことがあります。点眼後は薬が効くまで待つ時間が必要になるため、通常の視力検査だけより受診時間が長くなる場合があります。
点眼検査を行ったあとの注意
調節を一時的に弱める点眼薬を使用すると、近くが見えにくい、まぶしく感じるなどの症状が出ることがあります。続く時間は使用する薬剤によって異なるため、当日は医療機関から説明された注意事項に従ってください。
持って行くとよいもの
- 学校から渡された結果用紙・受診勧告書
- 現在使っているメガネ(使用している場合)
- コンタクトレンズの種類や度数が分かるもの(使用している場合)
- 普段の見え方で気になること(目を細める、テレビへ近づく、片目を隠すと嫌がるなど)
近視と診断されたらどうする?
眼科で近視と診断されても、まず考えるのは「今の生活で見え方に困っているか」「どの程度の近視か」「どのくらいの速さで進んでいるか」です。
必要であれば、授業や日常生活で見やすくするためにメガネなどで視力を矯正します。さらに、年齢や近視の進み方、目の状態によっては、近視の進行を抑えることを目的とした治療・管理法を検討する場合があります。
現在は、低濃度アトロピン点眼、オルソケラトロジー、近視管理用眼鏡など複数の方法があります。ただし、すべての子どもに同じ方法が適するわけではありません。効果だけでなく、年齢、目の状態、生活スタイル、管理方法、費用などを含めて眼科で相談します。
日本では、低濃度アトロピン点眼による近視進行抑制治療の手引きや、近視管理用眼鏡のガイドラインも公表されています。大切なのは、学校の視力判定だけを見て治療法を決めるのではなく、まず近視の有無と程度を確認することです。
学校の視力検査についてよくある質問
B判定なら、すぐにメガネが必要ですか?
A.学校のB判定だけでは、メガネが必要かどうかは決まりません。
眼科で視力や屈折状態を確認し、黒板の見え方、左右差、年齢なども踏まえて判断します。
C判定でも、家では普通に見えています。受診した方がいいですか?
A.学校から受診を勧められている場合は、眼科で確認することをおすすめします。
子どもは片方の目がよく見えていると、もう片方の見えにくさに気づかないこともあります。
学校ではC判定だったのに、眼科ではよく見えました。なぜですか?
A.学校と眼科では検査環境や方法が異なり、集中力や検査への慣れなどによって結果が変わることがあります。
大切なのは一度の数字だけで判断せず、眼科で左右の視力や屈折状態まで確認することです。
眼科では必ず目薬を使って検査しますか?
A.すべての子どもに毎回行うとは限りません。
年齢、視力、屈折検査の結果、初めての眼鏡処方かどうかなどを踏まえ、必要に応じて調節の影響を除く点眼検査を行います。
まとめ|B・C判定は「詳しく調べるきっかけ」
学校の視力検査でB・C判定が出ても、それだけで近視やメガネの必要性が決まるわけではありません。
学校の検査は、詳しい検査が必要な子どもを見つけるためのスクリーニングです。眼科では視力だけでなく、近視・遠視・乱視などの屈折状態、左右差、必要に応じて調節の影響などを確認し、見えにくさの原因を調べます。
受診を勧める用紙を受け取ったら、「すぐメガネになる」と心配しすぎず、まず現在の目の状態を確認してもらいましょう。近視だった場合も、見え方を矯正する方法と、進み方に応じて検討する近視管理の選択肢を分けて考えることが大切です。
本記事の参考文献・出典
- 文部科学省「定期健康診断の記録(参考帳票・サンプル・出力要件)」
学校健康診断における視力A・B・C・D区分を確認。 - 日本眼科医会「眼科学校保健 資料集」
学校視力検査で使用する0.3・0.7・1.0の視標、A〜D判定、受診勧奨の考え方を参照。 - 日本眼科学会「小児の眼鏡処方に関する手引き」
小児の屈折検査、眼鏡処方、調節の影響を踏まえた検査の考え方を参照。 - 日本眼科学会「低濃度アトロピン点眼液を用いた近視進行抑制治療の手引き」
小児近視の診断と低濃度アトロピン点眼による近視進行抑制治療の位置づけを参照。 - 日本眼科学会「近視管理用眼鏡(多分割レンズ)ガイドライン(第1版)」
近視管理用眼鏡の適応・検査・経過観察に関する考え方を参照。

たなか 視能訓練士(ORT)
眼科医療の現場で10年以上、子どもの視力検査や近視関連の検査に従事。検査室で実際に受ける相談や、保護者が誤解しやすいポイントをもとに、専門的な内容をできるだけ分かりやすく解説しています。
※本記事は一般的な医療情報の提供を目的としており、特定の診断や治療効果を保証するものではありません。治療の開始・継続・中止については自己判断せず、必ず眼科医などの医療専門職に相談してください。