眼科検査のプロ(視能訓練士)が解説|目の病気・近視・視力の完全ガイド

眼科検査に10年以上携わるプロが、目の違和感や視力低下、子どもの目の異常などをわかりやすく解説。受診の目安や検査でわかることを専門知識と現場経験をもとに伝える情報ブログです。

NHKで話題|ほうれん草が緑内障に効く?専門家視点でわかりやすく解説

昨日たまたまテレビをつけていたら「ほうれん草が緑内障に効く」という番組がやってました。

ご覧になられた方いますかね?

「毎日食べた方がいいのかな?」と気になった方も多いのではないでしょうか。

実際に患者さんからこの食べ物はいいの?食べたら治る?など時折聞かれることがあります。

眼科で働く私自身も曖昧なところがあったので改めて調べてみました。

テレビで体にいいと聞くと、すぐにでも試したくなりますよね。特に緑内障は目に見える自覚症状が出にくいですし、難しいところはあります。

今回は、なぜほうれん草が注目されたのか、10年以上眼科の現場で多くの患者さんと向き合ってきた視能訓練士(=国家資格を持つ眼科検査の専門職)の視点から、本当に大切にしてほしい「緑内障との付き合い方」をわかりやすく解説します。

 
この記事の30秒まとめ
  • ほうれん草の成分(ルテイン・硝酸塩など)は視神経の健康をサポート!
  • ただし食事は補助であり、ほうれん草を食べても緑内障が治るわけではない。
  • 最も優先すべき治療は「毎日の正しい点眼」と「定期的な眼科受診」。
視能訓練士たなか
推薦

視能訓練士:たなか

「テレビで話題だから毎日たくさん食べなきゃ!」と焦る必要はありません。緑内障対策で本当にブレてはいけない基本を、医療の現場から誠実にお届けします。

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緑内障とは?視神経が障害される病気

まず、緑内障という病気について簡単におさらいしておきましょう。

緑内障は、目から脳へ情報を伝える「視神経」が傷つくことで、視野(=見える範囲のこと)が少しずつ欠けていく病気です。

たなか たなか
視能訓練士として日々多くの患者さんの視野検査を行っています。この病気の最大の特徴であり、私たちが最も注意しなければならないのは、「一度失った視野は、基本的に元には戻らない」という点です。

病気の進行をくい止め、現在の視野をいかに長く維持するかが、治療と定期検査で重要です。

 

緑内障による視野変化の特徴や、検査で何を見ているのかについては、以下の記事で詳しく解説しています。

なぜほうれん草が注目された?注目される3つの理由

番組でほうれん草が緑内障に対してポジティブに取り上げられた背景には、ほうれん草に含まれるいくつかの栄養素と、近年の医学研究のデータがあります。主な理由は以下の3点です。

1. ルテインの存在

ほうれん草には、網膜や視神経を強い光やストレスから守るフィルターの役割を果たす「ルテイン」という色素が豊富に含まれています。

2. 硝酸塩(一酸化窒素:NO関連)

ほうれん草などの緑黄色野菜に多く含まれる硝酸塩は、体内で一酸化窒素(=NOのこと)に変換されます。これが血管を拡張させ、視神経の血流をスムーズにするのを助けると考えられているのです。

3. 高い抗酸化作用

視神経がダメージを受ける原因の一つに、体の「酸化(=サビつきのこと)」があります。ほうれん草の豊富なビタミン類が持つ抗酸化作用が、細胞のストレスを和らげてくれますね。

ほうれん草を食べれば緑内障は治る?

結論からお伝えすると、ほうれん草を食べても緑内障が治るわけではありません。

食事はあくまでも健康な体を作るための「補助」の位置づけです。緑内障の治療において、最も確実で、唯一科学的に証明されているのは「点眼(=目薬のこと)によって眼圧を下げること」です。

ほうれん草をたくさん食べたからといって、点眼を自己判断でやめてしまったり、回数を減らしてしまっては本末転倒。毎日の点眼を継続し、定期的に眼科を受診して視野検査や眼圧チェックを受けること。これが治療の絶対的な基本となります。

 

眼圧の判定方法など検査で何を見ているのかについては、以下の記事で詳しく解説しています。

医療の現場から見る「食事ケア」の役割

日々の食生活にほうれん草を取り入れることのメリットと、勘違いしやすい注意点をまとめました。

✔ 食事ケアのメリット

豊富なルテインや抗酸化ビタミンが、目だけでなく全身の血管や健康維持を優しくサポートしてくれます。

⚠ 注意したいデメリット(誤解)

「食べていれば治る」と過信してしまい、最も重要な目薬の治療を疎かにしてしまうリスクに要注意です。

アプローチ 目的と役割 科学的根拠 重要度
眼科での点眼治療 眼圧を下げて視神経の障害をくい止める 唯一、確立された医学的根拠あり 最優先(絶対の基本)
ほうれん草などの食事 抗酸化作用や血流維持による健康サポート 細胞レベルや補助的な研究データあり 補助的(治療の土台の上に成り立つ)

10年以上、眼科の現場で働いて感じる「本当に大切なこと」

外来で10年以上にわたり多くの患者さんの検査を担当し、お話を伺ってきましたが、テレビやネットで「目にいい」と話題になると、

「あの食べ物はどうですか?」
「サプリは何を飲めばいいですか?」

と、本当に熱心に質問される方にたくさんお会いします。

「自分の目を守りたい」「できることは何でもしたい」という切実な思いや不安は、私たち医療従事者にも伝わってきます。

だからこそ、私は患者さんによくこうお話ししています。

「食事に気を配ることは、ご自身の目を大切にする素晴らしい取り組みです。ただ、最も優先してほしいのは、先生に処方された目薬を毎日継続することと、定期検査を欠かさないことです。

その土台があってこそ、毎日の食卓に野菜を取り入れることも、目や全身の健康を支える習慣として意味を持ってきます。」

テレビやネットの情報に振り回されすぎて不安になる必要はありません。

まずは治療を続けること。
そのうえで、ほうれん草をはじめとした野菜を無理なく食生活に取り入れていく。そのくらいの距離感が、長く続けるコツだと感じています。

ちなみに、私自身ほうれん草はかなり好きでよくたべます(笑)

よくある質問(Q&A)

Qサプリメントの方が効率よく摂取できますか?

A. 食事から栄養を摂るのが理想ですが、調理の手間や量を考えると、毎日続けるのが難しいこともありますよね。

その場合は、目の健康をサポートする「ルテイン」などが配合されたサプリメントを補助的に活用するのも一つの方法です。ただし、サプリメントも薬ではないため、治療の代わりにはなりません。過剰摂取には注意し、購入前に主治医に相談しておくと安心です。

Q毎日どれくらい食べればいいですか?

A. 「これを何グラム食べれば病気が止まる」という魔法の量はありません。大切なのは、一度に大量に食べることではなく、日々の食生活の中でバランスよく継続することです。ほうれん草のお浸しや胡麻和えなど、いつもの食事にプラス1皿するくらいの、無理のないペースから取り入れてみてください。

Q他に目にいい食べ物はありますか?

A. 視神経の血流や細胞の健康を考えると、ほうれん草だけに偏る必要はありません。

  • サバやイワシなどの青魚(=DHA・EPAが血流をサポートすること)
  • ブロッコリーやモロヘイヤ、ケール(ほうれん草と同様にルテインや硝酸塩が豊富)
  • ブルーベリーやベリー類(=抗酸化作用を持つアントシアニンが豊富であること)

これらを日替わりでバランスよく摂ることで、目だけでなく全身の血管の健康にもつながります。

医療資格保持者による執筆・監修
視能訓練士たなか
国家資格保持

たなか 視能訓練士

眼科臨床現場で10年以上のキャリアを持つ専門職。丁寧な視野検査と、患者さんの不安に寄り添うカウンセリングを大切にしています。Webを通じて、エビデンス(=科学的根拠)に基づいた本当に役立つ目の健康情報を発信中。
👁️ 検査実績 1,000人以上 📝 相談 年間300件以上

※本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の診断を代替するものではありません。診断については必ず眼科専門医に相談してください。

 

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