眼科検査のプロ(視能訓練士)が解説|目の病気・近視・視力の完全ガイド

眼科検査に10年以上携わるプロが、目の違和感や視力低下、子どもの目の異常などをわかりやすく解説。受診の目安や検査でわかることを専門知識と現場経験をもとに伝える情報ブログです。

眼科で毎回視力検査をするのはなぜ?前回も測ったのに必要な理由を視能訓練士が解説

「前回の受診でも測ったのに、今日も視力検査をするの?」

眼科へ定期的に通っていると、毎回のように視力検査を行うことに疑問を感じる方もいると思います。メガネを作る予定がなければ、「視力を測る必要はないのでは」と思うかもしれません。

結論からいうと、眼科の視力検査は、単にどこまで見えるかを調べるためだけのものではありません。そのときの見え方を数値として記録し、前回の結果と比較することで、病気による変化や治療の経過を確認する目的があります。

ただし、受診の目的や目の状態によっては、必ず毎回必要とは限りません。

私は視能訓練士として10年以上、眼科で視力検査を担当してきました。この記事では、眼科で毎回視力検査を行う理由や、検査を断りたいときの対応について分かりやすく解説します。

眼科で毎回視力検査をするのはなぜ?

眼科で毎回視力検査を行う大きな理由は、そのときの見え方を数値として記録に残すためです。

患者さんが「右目がなんとなく見えにくい」「以前よりかすむ気がする」と感じていても、その程度を言葉だけで正確に伝えるのは難しいものです。

視力検査をすれば、「前回は1.0だったけれど、今回は0.6」のように、見え方の変化を数値で表せます。

また、自分では変化を感じていなくても、検査をすると視力が下がっていることがあります。特に、片方の目の見えにくさを反対の目で補っていると、普段の生活では気づきにくいです。

毎回の視力を数値として残しておくことで、前回やそれ以前の結果と比較できます。目の状態が安定しているのか、少しずつ変化しているのかを確認し、必要に応じて詳しい検査や治療につなげることが重要です。

視力検査はメガネの度数を決めるためだけではない

「メガネを作る予定はないのに、なぜ視力検査をするの?」と思う方もいるかもしれません。

眼科の視力検査では、メガネをかけていない状態の「裸眼視力」だけでなく、レンズを入れて測る「矯正視力」も確認します。

矯正視力とは、近視や遠視、乱視をレンズで補正したときに、どこまで見えるかを示す視力です。

たとえば、裸眼視力が0.3でも、レンズを入れて1.0まで見えれば、近視や乱視などの屈折異常が見えにくさの主な原因だと考える手がかりになります。

一方、レンズを入れても視力が十分に上がらなければ、白内障や角膜、網膜などに原因がないかを調べる必要があります。

そのため、矯正視力を測るのは、必ずしも新しいメガネを作るためではありません。見えにくさが度数の変化によるものか、それ以外の原因が関係しているのかを判断するためにも行われます。

目の病気によって視力はどのように変わる?

視力が下がる原因は、近視や乱視などの度数の変化だけではありません。目の病気によっても視力は変化します。

たとえば白内障が進むと、視力が低下するだけでなく、かすみやまぶしさ、物が二重に見えるなどの症状が現れることがあります。

角膜や網膜、視力に深く関わる黄斑に異常がある場合も、レンズを入れて矯正しても十分な視力が出ないことがあります。

一方で、目の病気が進んでも、視力検査の数値にはすぐに現れない場合があります。

視力検査だけですべての目の病気が分かるわけではありません。眼圧検査や眼底検査、OCT、視野検査などと組み合わせて、目の状態を総合的に確認します。

症状が変わっていなくても検査する意味はある?

見え方に変化を感じていなくても、視力検査をする意味はあります。

視力の変化がゆっくり進むと、本人はその変化に慣れてしまい、見えにくくなっていることに気づかない場合があります。また、片方の目の視力が下がっても、もう片方の目で補えるため、両目で見ている普段の生活では困らないこともあります。

視力の低下が確認されると、その原因を調べるために、眼底検査やOCTなどの追加検査が必要になる場合があります。

視力を確認しなければ、こうした検査が必要だと判断するきっかけを得られず、目の病気や変化を見逃してしまう可能性もあります。

患者さんが感じている見え方と、検査で得られた視力の両方を確認することで、自覚しにくい変化を見つけ、必要な検査につなげられます。

毎回必ず視力検査をしなければならないの?

眼科を受診するたびに、すべての患者さんが必ず視力検査を受けるとは限りません。検査の必要性は、受診した目的や目の病気、前回の検査からの期間などによって異なります。

たとえば、目の病気で定期的に通院している場合や、見えにくさを訴えて受診した場合は、前回からの変化を確認するために視力検査を行うことがあります。

一方で、受診目的や目の状態によっては、医師の判断で視力検査を省略することもあります。また、医療機関によって診療の流れや検査の方針は異なります。

毎回測定することに疑問を感じた場合は、「今日はどのような目的で視力を測るのでしょうか」と、検査員や医師に確認して構いません。

視力検査の必要性を患者さん自身が判断するのは難しいため、自己判断で断る前に、今回の診察で必要な検査なのかを確認するとよいでしょう。

視力検査を断っても大丈夫?

視力検査を受けたくない事情がある場合は、検査の前に受付や検査員へ相談してください。

視力検査を受けなかったからといって、すぐに大きな問題が起こるとは限りません。しかし、視力の変化を確認できないため、診察に必要な情報が不足したり、追加検査が必要かどうか判断しにくくなったりする可能性があります。

「時間がない」「体調が悪い」「検査費用が気になる」「前回測ったばかりなので理由を知りたい」など、患者さんによって事情はさまざまです。無理に我慢するのではなく、まずは検査を受けにくい理由を伝えましょう。

そのうえで、今回の診察に視力検査が必要なのか、次回へ延期できるのかを医療スタッフに確認します。

検査を受けるかどうかを自己判断だけで決めるのではなく、必要性について説明を受けたうえで相談することが大切です。

まとめ|毎回の視力検査は見え方を数値で残すため

眼科で視力検査を行うのは、単にどこまで見えるかを確認したり、メガネの度数を決めたりするためだけではありません。

「右目がなんとなく見えにくい」「以前よりかすむ気がする」といった自覚的な見え方を数値として残し、前回の結果と比較することに大きな意味があります。

視力が下がっていれば、度数の変化だけでなく、白内障や角膜、網膜などの異常が関係している可能性もあります。視力の変化が、眼底検査やOCTなどの必要な検査を行うきっかけになることもあります。

ただし、受診目的や目の状態によっては、必ずしも毎回必要とは限りません。

検査の必要性や費用などに疑問があるときは、自己判断で断る前に「今日はなぜ視力検査をするのですか」と確認してみてください。今回の診察で必要な検査なのか、医師や検査員に相談したうえで判断しましょう。

視力検査は、眼科診療における基本的で重要な検査です。日本眼科学会の手引きでも、屈折と視力の測定は、眼科診療における最も基本的で重要な検査とされています。

医療国家資格保持者による執筆
視能訓練士たなか
国家資格保持

たなか 視能訓練士(ORT)

眼科医療の現場で10年以上、子どもの視力検査や近視関連の検査に従事。検査室で実際に受ける相談や、保護者が誤解しやすいポイントをもとに、専門的な内容をできるだけ分かりやすく解説しています。

眼科検査の実務経験10年以上 視能訓練士の国家資格保持
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