眼科検査のプロ(視能訓練士)が解説|目の病気・近視・視力の完全ガイド

眼科検査に10年以上携わるプロが、目の違和感や視力低下、子どもの目の異常などをわかりやすく解説。受診の目安や検査でわかることを専門知識と現場経験をもとに伝える情報ブログです。

子どもの目が揺れるのは眼振?原因・見え方・受診の目安を視能訓練士が解説

「赤ちゃんや子どもの目が、左右に揺れているように見える」

「眠いときだけ目が動くけれど、これも眼振なの?」

このような目の動きに気づくと、きちんと見えているのか、何か病気が隠れていないか心配になると思います。

自分の意思とは関係なく、眼球が規則的に繰り返し動く状態を「眼振(がんしん)」といいます。乳児期からみられるものもあれば、目や神経、耳などの病気に伴って後から現れるものもあり、原因や視力への影響はさまざまです。

眼振があるからといって、必ず重い病気がある、将来見えなくなるというわけではありません。一方で、外から見える揺れ方だけでは原因を判断できないため、一度は眼科で視力や目の状態を確認することが大切です。

この記事では、10年以上子どもの視力検査や眼球運動検査に携わってきた視能訓練士の立場から、子どもの眼振の原因、見え方、検査内容、受診の目安について分かりやすく解説します。

この記事のポイント
  • 子どもの眼振には、乳児期からみられるものと後から現れるものがあります
  • 眼振の有無だけでは、視力や将来の見え方は判断できません
  • 眠いときだけの目の動きが、すべて病的な眼振とは限りません
  • 突然の発症や見え方の変化、めまいなどを伴う場合は早めの受診が必要です

子どもの眼振とは?

眼振とは、自分の意思とは関係なく眼球が繰り返し動く状態です。左右、上下、回旋するような動きなどがありますが、子どもにみられる眼振では左右方向の動きが比較的多くみられます。

電車の窓から流れる景色を見るときなど、正常な反応として眼振が起こることもあります。一方、何も刺激がない状態でも目が繰り返し揺れている場合には、原因を確認する必要があります。

眼振はひとつの病名ではありません。乳児期から眼球運動をうまく安定させられない場合や、十分な視力が得られにくい目の病気がある場合、神経や平衡感覚に関係する病気など、さまざまな原因で起こります。

視能訓練士のポイント

目の揺れが大きく見えるかどうかだけでは、視力や原因は判断できません。揺れ方に加えて、視力、屈折、斜視の有無、眼底や視神経の状態などを総合して評価します。

子どもの目が揺れる主な原因

乳児期からみられる眼振

生後数か月頃までに気づかれる眼振には、「乳児眼振症候群」と呼ばれるものがあります。以前は先天性眼振と呼ばれることもありました。

両眼が主に左右方向へ揺れ、成長してからも眼振が続くことがあります。眼球そのものに明らかな病気がない場合もありますが、屈折異常や斜視などを伴うこともあるため、眼科での評価が必要です。

視力の発達に影響する目の病気

網膜や視神経などに病気があり、乳児期に十分な視覚情報を得られない場合にも眼振がみられることがあります。

原因となる病気はさまざまで、外から目を見ただけでは分からないこともあります。そのため、眼底検査などで目の奥まで確認します。

首振りや顔の傾きを伴うことがある

乳幼児期に、細かい眼振、首を振る動き、顔を傾ける姿勢がみられる状態として「頭振り眼振(スパズムス・ヌータンス)」があります。

自然に目立ちにくくなることもありますが、似た目の動きが目や神経の病気で起こる場合もあるため、見た目だけで自己判断はできません。

後から現れる眼振

それまでなかった眼振が後から現れた場合は、目の病気だけでなく、神経や耳の病気、薬の影響なども含めて原因を確認します。

特に、周囲が揺れて見える、めまいがする、まっすぐ歩きにくいなどの症状を伴う場合は、眼科以外の診療科と連携して検査を行うことがあります。

眠いときだけ目が揺れるのは眼振?

「眠いときだけ目が揺れる」「寝入りばなに目が動く」という相談もあります。

眠りに入る前後には、眼球が一時的に動くことがあります。また、眠いときや疲れているときに斜視が目立ち、保護者には「目が揺れた」「片方の目だけ動いた」と見えることもあります。

そのため、眠いときに目が動いたというだけで、病的な眼振とは判断できません。一方で、「眠いときだから問題ない」と決めつけることもできません。

目の動きを確認するときのポイント
  • 起きているときにも繰り返しているか
  • 両眼が同時に動くか、片眼だけに目立つか
  • 左右・上下・回旋のどのような動きか
  • 呼びかけに反応するか
  • めまい、ふらつき、頭痛、吐き気などを伴わないか

受診時に目の動きが出るとは限らないため、可能であればスマートフォンで動画を撮っておくと、医師に状態を伝えやすくなります。

ただし、撮影することにこだわって受診を遅らせる必要はありません。繰り返し起こる場合や、普段と違う目の動きが気になる場合は眼科へ相談してください。

眼振がある子どもの見え方と視力

目が揺れていても、景色が揺れて見えるとは限らない

保護者から見ると目が大きく揺れていても、乳児期から眼振がある子どもでは、本人が「周囲が揺れて見える」と訴えないことがあります。

一方、それまでなかった眼振が後から現れた場合には、周囲が揺れて見える「動揺視」や、めまいなどを自覚することがあります。

眼振があると必ず視力が悪いわけではない

眼振がある子どもの視力には個人差があります。日常生活に大きな支障がない視力を得られる子もいれば、眼振や併存する目の病気によって視力が伸びにくい子もいます。

外から見える揺れの大きさだけでは、どの程度見えているかは分かりません。年齢に合った方法で、実際の視力や物を見る反応を確認することが大切です。

遠視・近視・乱視や弱視を伴うこともある

眼振に遠視・近視・乱視などの屈折異常や斜視が伴う場合、視力の発達に影響することがあります。

必要に応じてメガネを使用し、弱視があればその治療を検討します。眼振そのものを完全に止められなくても、見え方に影響する別の原因へ対応することで、視力の発達を支えられる場合があります。

眼振は成長すると治る?

眼振がいつまで続くかは、原因によって異なります。

成長とともに目の揺れが目立ちにくくなる場合もありますが、乳児期からみられる眼振が大人になっても続くこともあります。

眼振が残っていても、成長や視覚の発達に伴って見え方が安定し、生活上の困りごとが少なくなる場合があります。そのため、「眼振が完全に消えるか」だけではなく、視力や日常生活への影響を継続して確認することが重要です。

見やすい方向へ顔を向けることがある

眼振には、目の揺れが比較的少なくなり、物を見やすくなる視線の方向がある場合があります。この位置を「静止位(null point)」と呼びます。

子どもは静止位を使うために、顔を横へ向けたり、あごを上げ下げしたりすることがあります。単なる姿勢の癖ではなく、見やすい目の位置を自然に選んでいる可能性があります。

顔の向きが強く、日常生活や首の負担に影響する場合には、眼鏡や手術などが検討されることもあります。対応は眼振のタイプや視力、顔の向きなどによって異なります。

眼科ではどのような検査をする?

子どもの年齢や発達に合わせて、可能な検査を組み合わせます。一度の受診ですべてを判断できず、経過を見ながら評価することもあります。

眼球運動と眼位の確認

眼振の方向や速さ、両眼の動きに左右差がないか、見る方向によって揺れ方が変わるかを確認します。斜視や顔の向きも大切な情報です。

視力と見え方の評価

通常の視力検査が難しい乳幼児では、おもちゃや絵、縞模様、視線の反応などを利用して、年齢に合った方法で見え方を評価します。

屈折検査

遠視・近視・乱視の有無を調べます。子どもはピントを合わせる力が強いため、必要に応じて目薬で調節を休ませた状態で屈折検査を行います。

眼底検査や画像検査

網膜や視神経など、目の奥に眼振の原因となる異常がないか確認します。状態によってはOCTなどの画像検査を行うこともあります。

必要に応じて行う追加検査

通常の眼科検査だけでは原因が分からない場合、網膜の働きを調べる電気生理検査、遺伝学的検査、MRIなどの画像検査が検討されることがあります。

後から現れた眼振や、めまい・ふらつきなどを伴う場合には、小児科、脳神経内科、脳神経外科、耳鼻咽喉科などと連携することもあります。

視能訓練士の現場メモ

小さな子どもでは、大人と同じ方法で視力を測れないことがあります。しかし、検査ができないから何も分からないわけではありません。目で物を追う反応や左右差など、その年齢で確認できる情報を少しずつ積み重ねて評価します。

子どもの眼振に気づいたときの受診目安

緊急性が高くなくても眼科で確認したい場合

  • 乳児期から目の揺れが続いている
  • 健診で眼振や目の動きを指摘された
  • 眠いときや疲れたときに目の揺れを繰り返す
  • 片眼だけが揺れているように見える
  • いつも顔を同じ方向へ向けて物を見る
  • 物を目で追いにくい、見え方や視力発達が気になる

乳幼児期から眼振がある場合でも、原因や視力への影響を確認するため、一度は眼科を受診しましょう。可能であれば、小児眼科や斜視・弱視を扱う眼科へ相談すると詳しい評価につながります。

早めの受診が必要な場合

  • それまでなかった目の揺れが突然現れた
  • 周囲が揺れて見える、急に見えにくくなった
  • めまい、強い頭痛、吐き気、ふらつきを伴う
  • 意識や反応が普段と違う
  • 手足の動かしにくさなど、目以外の症状を伴う

このような場合は通常の予約日を待たず、速やかに医療機関へ相談してください。症状が強い場合や、意識・歩行などに異常がある場合は、救急受診も検討します。

受診前に整理しておくとよいこと
  • いつ頃から目の動きに気づいたか
  • 常に起こるか、眠いときなど特定の状況だけか
  • 両眼か、片眼だけに見えるか
  • 視線の方向によって変化するか
  • 家族に眼振や目の病気がある人がいるか
  • 目の動きが分かる動画があるか

子どもの眼振についてよくある質問

赤ちゃんの目がたまに揺れるだけでも受診した方がよいですか?

一時的な目の動きがすべて病的な眼振とは限りません。ただし、繰り返し起こる、起きているときにもみられる、物を目で追いにくいなどの場合は眼科へ相談してください。動画が撮れれば、受診時の参考になります。

眠いときに目が揺れるのは問題ありませんか?

眠りに入る前後の眼球運動や、眠いときに目立つ斜視が、眼振のように見えることがあります。そのため、眠いときに目が動くだけでは眼振かどうか判断できません。繰り返す場合や判断に迷う場合は眼科で確認しましょう。

片目だけの眼振はありますか?

眼振が片眼だけにみられることは多くありませんが、片眼の揺れが強いため片目だけに見える場合もあります。左右差の強い眼振では、目や神経の状態を詳しく調べることがあるため、眼科を受診してください。

眼振があると弱視になりますか?

眼振があるだけで、必ず弱視になるわけではありません。ただし、遠視・近視・乱視、斜視、網膜や視神経の病気などを伴い、視力の発達に影響する場合があります。年齢に応じた視力評価と屈折検査が重要です。

眼振はメガネで治りますか?

メガネだけで眼振そのものがなくなるとは限りません。ただし、遠視・近視・乱視を適切に矯正することで、見やすくなったり視力発達を支えたりできる場合があります。

まとめ

子どもの眼振には、乳児期からみられるものと、それまでなかったのに後から現れるものがあります。原因や視力への影響は一人ひとり異なり、目の揺れ方だけで将来の見え方を判断することはできません。

眠いときだけにみられる目の動きも、すべてが病的な眼振とは限りません。ただし、繰り返す場合や、起きているときにもみられる場合は眼科へ相談してください。

乳幼児では通常の視力検査が難しくても、目で物を追う反応や屈折、眼位、眼底などから確認できることがあります。必要な検査や視力発達へのサポートにつなげるためにも、気になる目の動きがあれば一度眼科で確認しましょう。

医療国家資格保持者による執筆
視能訓練士たなか
国家資格保持

たなか|視能訓練士(ORT)

眼科医療の現場で10年以上、子どもの視力検査・屈折検査・眼位検査・眼球運動検査などに従事。実際の検査経験と公的機関・医学会の情報をもとに、子どもの目について分かりやすく解説しています。

眼科検査の実務経験10年以上 視能訓練士の国家資格保持
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※本記事は一般的な医療情報の提供を目的としており、個別の診断を代替するものではありません。お子さんの目の動きや見え方が気になる場合は、眼科などの医療機関へご相談ください。