「視野検査は、どんなことをするの?」
「光が見えない時間があると、押し忘れたのではないかと不安になる」
初めて視野検査を受ける方や、以前うまくできなかった方は、検査のやり方に戸惑うこともあると思います。
この記事では、視野検査のやり方や所要時間、検査がうまくできない原因、できるだけ正確に受けるためのコツを分かりやすく解説します。
視野検査とは「見える範囲」を調べる検査
視野検査とは、目を動かさずに一点を見たとき、上下左右のどの範囲まで見えているか、見えにくい部分がないかを調べる検査です。
一般的な視力検査では、ランドルト環の切れ目を答えて「中心部分をどのくらい細かく見分けられるか」を確認します。一方、視野検査で調べるのは、中心だけでなく周囲を含めた見える範囲です。
そのため、視力が1.0以上あっても、視野の一部が見えにくくなっている可能性はあります。特に緑内障は、初期には視野が部分的に欠けていても自覚しにくいため、視力検査だけで状態を判断することはできません。
視野検査は、主に次の目的で行われます。
- 視野に見えにくい部分がないか確認する
- 緑内障などの診断材料にする
- 以前の結果と比べて視野障害が進んでいないか確認する
- 治療によって病気の進行が抑えられているか判断する
日本眼科学会では、視野検査を緑内障診療の基本となる検査の一つとしており、緑内障が進行したかどうかを判断するためにも用いられています。
ただし、視野検査の結果だけで病名が決まるわけではありません。眼圧検査や眼底検査、OCT検査などの結果も合わせて、眼科医が総合的に判断します。
視野検査には主に2つの種類がある
眼科で行う視野検査には、主に「静的視野検査」と「動的視野検査」があります。どちらも見える範囲を調べますが、光の出方や検査する範囲、所要時間が異なります。
静的視野検査は中心部を詳しく調べる
ハンフリー視野計(静的視野検査)では、半球状の機械をのぞき、中央の印を見続けます。検査が始まると、周囲のあちらこちらに小さな光がポツポツと出てくるため、光を感じたら手元のボタンを押します。
出てくる光の明るさは毎回同じではありません。はっきり見える光だけでなく、「今、光ったかもしれない」と感じる程度の薄い光も出てきます。場所ごとにどの程度の明るさまで見えるかを測定し、主に中心部の視野を詳しく調べます。
緑内障の診断や経過観察でよく行われ、検査時間は片目5〜10分程度が目安です。ただし、光に対する患者さんの応答の速さや検査内容によって、かかる時間は変わります。
動的視野検査は視野全体を広く調べる
ゴールドマン視野計(動的視野検査)では、検査員が光を手動で動かします。中央の印を見たまま、周囲から中心に向かって動いてくる光が見えた時点で、ボタンを押すか声で伝えます。
検査員はさまざまな方向から光を動かし、どの範囲まで見えているかを地図のように記録します。中心部だけでなく、周辺部を含めた視野全体を広く調べられるのが特徴です。
片目の検査には15分前後かかることがあります。ただし、ゴールドマン視野検査は検査員が手動で光を動かすため、患者さんの反応や視野異常の程度だけでなく、検査員の経験や技術によっても検査時間や進め方が変わります。
視野検査のやり方と当日の流れ
視野検査は基本的に片目ずつ行います。痛みを伴う検査ではありませんが、一定時間、中央の印を見続ける必要があります。
一般的な流れは次のとおりです。
1.片目を隠して機械の前に座る
まず、検査しないほうの目を眼帯などで隠します。検査する目に合った位置へ椅子の高さを調整し、顎と額を機械にしっかりつけます。
姿勢が苦しいままだと集中しにくくなるため、首や腰がつらい場合は我慢せず、検査が始まる前に伝えてください。
2.必要に応じて検査用のレンズを入れる
近視や遠視、乱視などがある場合は、検査する距離に合わせたレンズを機械に取りつけることがあります。
普段使っているメガネを外して検査する場合でも、裸眼のまま測定しているとは限りません。検査に必要な度数は眼科側で調整するため、案内に従えば大丈夫です。
3.中央の印を見続ける
検査中は、正面にある中央の印を見続けます。周囲に光が出ても、その光を目で追いかけてはいけません。
顔を正面に向けていても、目だけが動くと正確な結果を得にくくなります。周囲の光は、中央を見たまま気づくことがポイントです。
4.光を感じたらボタンを押す
周囲に光を感じたら、手元のボタンを1回押します。ハンフリー視野検査では、見える光と見えない光が混ざって出てきます。
光がしばらく見えなくても、押し忘れているとは限りません。「見えたときだけ押す」と考えて、焦らず検査を続けましょう。
5.反対の目も同じように検査する
片目が終わったら、必要に応じて反対の目も同様に調べます。
検査中に目が乾く、姿勢がつらい、集中できなくなったと感じた場合は、途中でも検査員に伝えてください。無理をして続けるより、一度休んでから再開したほうが正確に測定できることがあります。
視野検査がうまくできないと感じる5つの理由
視野検査は、患者さんの反応をもとに結果を記録する「自覚的な検査」です。その日の体調や集中力、検査への慣れなどが結果に影響することがあります。
初めて受ける人が難しいと感じるのは珍しいことではありません。ここでは、検査中によくある戸惑いを紹介します。
1.光が見えない時間に不安になる
ハンフリー視野検査では、常に見える光が出ているわけではありません。正常な人でも見えないほど暗い光が出ることや、次の光が出るまで間が空くことがあります。
しかし、「押し忘れたのではないか」「視野が悪いと思われるかもしれない」と不安になり、見えていないのにボタンを押してしまう人もいます。
光が見えない時間があっても失敗ではありません。見えたと感じたときだけ押せば大丈夫です。
2.光を探して目を動かしてしまう
周囲に光が見えると、無意識に目で追いかけたくなります。しかし、視野検査は中央を見たまま、周囲の光に気づけるかを調べる検査です。
光を探して視線を動かすと、本来とは異なる結果が出る可能性があります。中央の印から目を動かさないことが重要です。
3.見えた気がしてボタンを押しすぎる
検査では、見えるか見えないかギリギリの薄い光も出てきます。そのため、「光ったような気がする」「さっきと同じ場所に出るはず」と予測して押してしまうことがあります。
薄い光でも実際に感じたのであれば押して構いません。ただし、タイミングを予測したり、迷うたびに押したりする必要はありません。
4.まばたきを我慢してしまう
光を見逃さないようにしようと、まばたきを我慢する人もいます。しかし、目が乾いて涙が出たり、かすんだりすると、かえって光が見えにくくなります。
普段どおりにまばたきをして大丈夫です。目が乾いてつらいときは、検査員に伝えて一度休ませてもらいましょう。
5.姿勢や集中力が続かない
視野検査では、顎と額を機械につけた姿勢を一定時間保ちます。首や腰がつらい人、暗い場所が苦手な人、集中力が続きにくい人にとっては負担になることがあります。
疲れたまま無理に続けると、反応が遅れたり、中央から視線が外れたりすることがあります。休憩をお願いしても検査の失敗にはならないため、遠慮せず検査員に伝えてください。
視野検査をできるだけ正確に受ける7つのコツ
視野検査で大切なのは、よい結果を出すことではなく、現在の見え方をそのまま伝えることです。
1.中央の印から目を動かさない
検査中は、周囲に光が見えても中央の印を見続けます。光が出た場所を確認しようとして、目で追いかける必要はありません。
2.光を探さない
次の光がどこに出るかを予測したり、周囲を探したりすると目が動きやすくなります。力を入れて探すのではなく、自然に光を待つことがポイントです。
3.薄い光でも見えたと感じたら押す
輪郭がはっきり見えなくても、「今、光った」と感じた場合はボタンを押して構いません。
4.見えないときは押さない
光が出ない時間や、見えないほど暗い光が提示されることもあります。「そろそろ出るはず」と予測して押さず、実際に光を感じたときだけ押しましょう。
5.まばたきは我慢しない
検査中も普段どおりにまばたきをして大丈夫です。また、隠している側の目も無理に閉じる必要はありません。両目を自然に開けておくと、顔に余計な力が入りにくくなります。
6.楽な姿勢に調整してもらう
椅子が高い、顎が外れそう、姿勢が苦しいと感じたら、検査が始まる前に調整してもらいましょう。
7.疲れたら我慢せずに伝える
集中できない、目が乾く、少し休みたいと感じたときは、検査員に伝えてください。無理に続けるより、短い休憩を入れたほうが安定した結果につながることがあります。
視野検査がうまくできなかったら結果はどうなる?
「途中で目を動かしてしまった」「ボタンを押しすぎた気がする」と感じても、その1回だけで病気の進行が決まるわけではありません。
特にハンフリー視野検査では、視野の状態だけでなく、検査結果がどの程度信頼できるかを判断するための指標も記録されます。
目を動かすと正確に測れないことがある
中央の印から視線が外れると、本来とは異なる場所で光を見てしまいます。少し目が動いただけで検査がすべて無効になるわけではありませんが、視線のずれが多い場合は再検査が必要になることがあります。
押しすぎると実際よりよく見える結果になることがある
光が見えていないのに予測してボタンを押すと、実際よりも視野の感度がよいように記録される可能性があります。
ボタンをたくさん押せば、よい結果になるわけではありません。見えたと感じたときだけ押すことが大切です。
反応が遅れたり見逃したりすることもある
疲れや集中力の低下によって、見えていた光に反応できないこともあります。その場合は、実際よりも見えにくいような結果が出る可能性があります。
検査の後半で疲れてきたときや、途中から集中できなくなったときは、検査員に伝えてください。
初回はうまくできなくても珍しくない
初めて視野検査を受けるときは、光の見え方やボタンを押すタイミングが分からず、結果が安定しないことがあります。
視野検査で分かる病気
視野検査は緑内障の診断や経過観察でよく行われますが、緑内障以外の病気が疑われる場合にも使われます。
緑内障
緑内障は、目から脳へ情報を伝える視神経が障害され、視野が少しずつ欠けていく病気です。
初期には視野の一部に見えにくい場所があっても、反対の目が補うため、自分では気づかないことがあります。そのため、視野検査を定期的に行い、見えにくい部分が広がっていないかを確認します。
視神経の病気
視神経炎など、視神経に異常が起きる病気でも視野が欠けることがあります。見ようとする中心部分が見えにくくなる「中心暗点」などがみられることがありますが、欠け方は病気や状態によって異なります。
網膜の病気
網膜色素変性症など、目の奥にある網膜の病気でも視野障害が起こります。周辺から見える範囲が狭くなる場合もあるため、視野全体を広く調べられるゴールドマン視野検査が用いられることがあります。
脳や視覚の通り道に関係する病気
目から入った情報は、視神経を通って脳へ伝わります。その途中に異常があると、左右の視野の同じ側が見えにくくなるなど、特徴的な視野障害が現れる場合があります。
脳梗塞や脳腫瘍などが原因となることもありますが、視野検査の結果だけで病名が決まるわけではありません。
病気の診断では、視力検査や眼圧検査、眼底検査、OCT検査、画像検査などの結果を組み合わせて、医師が総合的に判断します。
視野検査についてよくある質問
視野検査は痛いですか?
視野検査では、目に器具を当てたり、針を刺したりすることはありません。そのため、基本的に痛みはありません。
ただし、顎と額を機械につけた姿勢を保つため、首や腰がつらくなることがあります。姿勢が苦しい場合は、検査の途中でも遠慮なく伝えてください。
光が見えない時間が長くても大丈夫ですか?
光が見えない時間があっても、検査に失敗しているとは限りません。
ハンフリー視野検査では、正常な人でも見えないほど暗い光が出ることがあります。見えないときは押さず、実際に光を感じたときだけボタンを押してください。
視野検査の前にコンタクトレンズを外しますか?
検査方法やコンタクトレンズの種類、目の状態によって対応が異なります。検査用のレンズを使用するため、コンタクトレンズを外すよう案内されることもあります。
自己判断せず、検査前にスタッフへ確認しましょう。外す可能性に備えて、レンズケースやメガネを持参しておくと安心です。
視野検査の後に車を運転できますか?
視野検査だけであれば、通常は瞳を広げる目薬を使わないため、検査後の運転が一律に禁止される検査ではありません。
ただし、同じ日に散瞳検査を行うと、数時間まぶしさやピントの合いにくさが続くことがあります。その場合は運転を控える必要があるため、予約時や検査前に眼科へ確認してください。
視野検査はどのくらいの頻度で受けますか?
検査を受ける頻度は、病気の種類や進行度、治療状況によって異なります。
特に緑内障では、視野がどの程度の速さで変化しているかを確認するため、定期的に検査を行います。自己判断で検査を中断せず、次回の検査時期は担当医に確認しましょう。
まとめ|視野検査は見えたときだけ押せば大丈夫
視野検査は、目を動かさずに一点を見たとき、どの範囲まで見えているか、見えにくい部分がないかを調べる検査です。
ハンフリー視野検査では、中央の印を見ながら、周囲のあちらこちらにポツポツと出る光を感じたらボタンを押します。主に中心部の視野を詳しく調べ、片目5〜10分程度かかります。
ゴールドマン視野検査では、検査員が周囲から中心へ光を動かし、視野全体を広く調べます。片目15分前後が目安ですが、視野の状態や患者さんの応答、検査員の経験によって所要時間は変わります。
初回からうまくできなくても珍しいことではありません。検査方法に慣れていないことや、その日の体調が結果に影響する場合もあります。
「前回うまくできなかった」「検査中に目や首がつらくなる」などの不安があれば、始まる前に検査員へ伝えてください。無理に頑張るのではなく、できるだけ普段どおりの状態で受けることが、正確な結果につながります。
眼圧が正常範囲でも緑内障と診断されることがあります。眼圧の数値だけでは判断できない理由はこちらで解説しています。

たなか 視能訓練士(ORT)
眼科医療の現場で10年以上、子どもの視力検査や近視関連の検査に従事。検査室で実際に受ける相談や、保護者が誤解しやすいポイントをもとに、専門的な内容をできるだけ分かりやすく解説しています。
本記事の参考文献・出典
- 日本眼科学会:緑内障
緑内障の症状、検査、診断、治療に関する一般向け解説。 - 日本眼科医会:よくわかる緑内障―診断と治療―
緑内障による視野障害や、視野検査の必要性について解説されています。 - 慶應義塾大学病院 KOMPAS:視野検査
静的・動的視野検査の違い、検査の流れ、検査中の注意点について解説されています。
※本記事は一般的な医療情報の提供を目的としており、特定の診断や治療効果を保証するものではありません。治療の開始・継続・中止については自己判断せず、必ず眼科医などの医療専門職に相談してください。