眼科検査のプロ(視能訓練士)が解説|目の病気・近視・視力の完全ガイド

眼科検査に10年以上携わるプロが、目の違和感や視力低下、子どもの目の異常などをわかりやすく解説。受診の目安や検査でわかることを専門知識と現場経験をもとに伝える情報ブログです。

DIMSとは?普通のメガネとの違い・海外研究の結果・値段を解説

「DIMS(ディムス)って普通のメガネと何が違うの?」
「ミヨスマートに使われているDIMSって、どんな仕組み?」

DIMS(ディムス)は、レンズの中央部で視力を補正しながら、その周囲に多数の小さなセグメントを配置した特殊な光学設計です。

「Defocus Incorporated Multiple Segments」の略で、日本ではDIMSテクノロジーを採用した小児の近視用メガネレンズとして、HOYAの「MiYOSMART(ミヨスマート)」が販売されています。

DIMSについては海外で複数の研究が行われており、一般的な単焦点メガネと比較した臨床研究では、近視の進行量や眼軸長の伸びに差が報告されています。

「研究ではどんな結果だった?」「実際の見え方は?」「値段はいくら?」など、購入を検討すると気になることも多いでしょう。

この記事では、DIMSの仕組み、普通のメガネとの違い、海外の臨床研究で報告された結果、実際にかけてみた感想や費用について分かりやすく解説します。

DIMSとは?普通のメガネとの違い

一般的な単焦点メガネは、主に近視などの屈折異常を補正して、遠くを見やすくするために使われます。

一方、DIMSは中央に視力を補正する領域があり、その周囲には「セグメント」と呼ばれる多数の小さな領域が配置されています。

このセグメントによって、網膜の手前に焦点をつくる「近視性デフォーカス」を生じさせるのが、一般的な単焦点レンズとの大きな違いです。

DIMSは、視力を補正する中央部分と、近視性デフォーカスをつくる周辺部分をひとつのレンズに組み合わせた光学設計です。

実際にDIMSをかけると見え方は違う?

私も実際にDIMSレンズをかけて見え方を確認しました。

正面や手元を見たときは、「普通のメガネとほとんど変わらないな」というのが率直な感想です。

ただ、顔はそのままで目だけを上に向けると、少し見えにくさを感じる場面もありました。

HOYAでは、ミヨスマートの新しい眼鏡に慣れるまでの期間について、通常1〜2週間程度が必要と案内しています。2週間たっても不快感が続く場合や異常を感じる場合は、眼科医への相談が必要です。

DIMSの仕組み|近視性デフォーカスとは

子どもの近視と深く関係しているのが、目の前後方向の長さである「眼軸長(がんじくちょう)」です。

子どもの近視では、成長期に眼軸長が伸びることによって近視が強くなるケースが多くあります。

DIMSは「近視性デフォーカス」をつくる

DIMSは中央部分で視力を補正しながら、周囲に配置された多数のセグメントによって、網膜より手前に焦点をつくります。この状態を「近視性デフォーカス」と呼びます。

HOYAの公式情報でも、ミヨスマートに採用されているDIMSテクノロジーは、周辺遠視性焦点ぼけ理論に基づいて、網膜周辺部に近視性のぼけをつくる構造と説明されています。

ここで重要なのは、DIMSの光学的な仕組みと、日本国内で承認されている製品の効能・効果は分けて考える必要があるということです。

次に、DIMSについて海外の臨床研究でどのような結果が報告されているのかを見ていきます。

海外研究ではどんな結果が報告されている?

DIMSについては、子どもの近視を対象とした海外のランダム化比較試験が報告されています。

Lamらの研究では、香港の8〜13歳の近視の子ども183人を、DIMSレンズ群と一般的な単焦点メガネ群に分けて2年間比較しました。

2年間の近視度数の変化は、DIMS群で平均−0.41D、単焦点メガネ群で−0.85Dでした。

この研究では、単焦点メガネ群と比較して、DIMS群の近視進行量が52%少ない結果が報告されています。

眼軸長の伸びはDIMS群0.21mm、単焦点メガネ群0.55mmで、モデル調整後の解析ではDIMS群の眼軸長の伸びが62%少ないと報告されています。

研究結果はDIMSという技術を理解するうえで重要ですが、個々の子どもで同じ結果になることを保証するものではありません。

DIMSの特徴と購入前に知っておきたいこと

普段のメガネとして使用できる

DIMSテクノロジーを採用したミヨスマートは、一般的なメガネと同じように装用するタイプのレンズです。

コンタクトレンズのように目へ直接装着する必要はなく、レンズの洗浄や着脱といったコンタクトレンズ特有のケアもありません。

普段からメガネを使っている子どもにとっては、日常生活のなかで使用しやすい方法といえます。

費用は一般的なメガネより高くなる

購入を検討するときに確認しておきたいのが費用です。

DIMSテクノロジーを採用したMiYOSMART(ミヨスマート)の価格は店舗によって異なりますが、2026年8月時点では、レンズ価格が両眼で7〜8万円前後(税込)で案内されている店舗があります。

フレーム代が別途必要な場合は、メガネ一式で9〜10万円前後になることもあります。

※価格や保証内容は店舗によって異なります。購入前に必ず取扱店で最新の価格をご確認ください。

実際に親御さんと話していても、「高いので失敗したくない」という声はよく聞きます。

使い始めは見え方に慣れが必要な場合がある

新しいレンズでは、使い始めに見え方への違和感が出ることがあります。

HOYAの取扱情報では、ミヨスマートに慣れるまで通常1〜2週間程度が必要とされ、使用開始後の数日間にゴーストイメージ、めまい、頭痛などが生じることがまれにあるとされています。

私が眼科で見ているなかでも、装用を始めた直後に見え方の違いを訴えるお子さんはいます。

2週間たっても不快感が続く場合や、異常を感じた場合は、眼科を受診してください。

破損時の保証も確認しておく

もうひとつ確認したいのが、メガネを破損した場合の対応です。

実際にDIMSテクノロジーを採用したメガネを壊してしまい、作り直しになったお子さんも何人か見てきました。

費用が比較的高いため、購入前に破損・度数変更・見え方に慣れなかった場合などの保証内容を確認しておくと安心です。

DIMSを検討するときに確認したいこと

DIMSテクノロジーを採用したレンズを使用するかどうかは、子どもの年齢だけで決めるものではありません。

日本眼科学会の「近視管理用眼鏡(多分割レンズ)ガイドライン」では、眼科医による処方、作製、処方前検査、経過観察などについて具体的に示されています。

また、日本医用光学機器工業会の販売自主基準では、特殊な構造をもつ小児の近視用眼鏡レンズについて、眼科医療機関への受診を確認し、眼鏡処方箋に基づいて販売することが示されています。

使用を始めた後も、眼科で定期的に目の状態を確認し、メガネ店ではフレームの変形やフィッティングを確認してもらうことが大切です。

DIMSについて知っておきたいポイント

DIMSは、中央の視力補正領域と、その周囲に配置された多数のセグメントを組み合わせた光学設計です。

海外のランダム化比較試験では、一般的な単焦点メガネを使用した群と比較して、DIMS群で近視の進行量や眼軸長の伸びが少なかったことが報告されています。

ただし、これは海外の臨床研究で得られた結果であり、すべての子どもに同じ結果が得られることを示すものではありません。

また、日本国内では近視進行抑制の効果は承認されていません。

日本でDIMSテクノロジーを採用しているミヨスマートは、「小児の近視用メガネレンズ」として販売されています。

購入する場合は、まず眼科を受診し、眼科医から処方を受けたうえで取扱店で作製します。使用開始後も、眼科での定期検査とメガネ店でのフィッティング確認を続けましょう。

よくある質問

QDIMSレンズは何歳から使えますか?

A.「○歳から」と年齢だけで使用を決めるものではありません。

眼科で近視の状態などを確認し、眼科医の判断・処方に従います。なお、Lamらの代表的な2年間の海外臨床研究では、8〜13歳の近視の子どもが対象となっています。

QDIMSは1日何時間かければいいですか?

A.DIMSテクノロジーを採用するミヨスマートについて、HOYAは終日装用を推奨しています。

ただし、実際の装用方法は眼科医やメガネ店から受けた説明、製品の添付文書・取扱説明書に従ってください。

QDIMSをかければ近視は治りますか?

A.DIMSを使用しても、すでにある近視そのものが治るわけではありません。

また、日本国内では近視進行抑制の効果は承認されていません。海外の臨床研究では、DIMS群と単焦点メガネ群で近視の進行量や眼軸長の伸びに差が報告されています。

QDIMSはいつまで使い続けますか?

A.使用期間を自己判断で決めるものではありません。

眼科で定期的に目の状態を確認し、眼科医の指示に従って使用を継続してください。

本記事の参考文献・出典

医療国家資格保持者による執筆
視能訓練士たなか
国家資格保持

たなか 視能訓練士(ORT)

眼科医療の現場で10年以上、子どもの視力検査や近視関連の検査に従事。検査室で実際に受ける相談や、保護者が誤解しやすいポイントをもとに、専門的な内容をできるだけ分かりやすく解説しています。

眼科検査の実務経験10年以上 視能訓練士の国家資格保持
詳しい経歴・運営者情報を見る →

※本記事は、DIMSテクノロジーおよび小児の近視用メガネレンズに関する一般的な情報提供を目的としています。海外では近視進行抑制を目的として販売されている製品もありますが、日本国内では近視進行抑制の効果は承認されていません。記事内の数値は海外の臨床研究で報告された結果であり、個々の使用者に同じ結果が得られることを保証するものではありません。製品の使用については眼科医の診察・処方を受け、添付文書・取扱説明書および眼科医の指示に従ってください。