花粉が飛ぶ季節になると、目のかゆみや充血、ゴロゴロとした異物感に悩まされる方が増えます。
「目をこすりたいほどかゆい」「朝起きたときから目がゴロゴロする」と感じることもあるでしょう。一度かゆくなると、我慢しようと思うほど目をこすりたくなることもあります。
私自身も長年花粉症と付き合っており、眼科の現場でも花粉による目のかゆみや充血に悩む方を多く見てきました。
花粉症で目がかゆいときは、強くこすらず、清潔な冷たいタオルを閉じたまぶたの上に短時間当てる方法があります。防腐剤を含まない人工涙液で、目の表面についた花粉を洗い流す方法もあります。かゆみが強い場合や繰り返す場合は、抗アレルギー点眼薬について眼科へ相談しましょう。
この記事では、目をこすることで起こりうる問題と、花粉症による目のかゆみに使われる点眼薬、正しい点眼方法、日常でできるセルフケアについて、視能訓練士の視点からわかりやすく解説します。
花粉症の目の症状は早めの対策が大切
花粉による目のかゆみや充血は、症状が強くなってから対処するだけでなく、飛散開始時期や症状が軽いうちから治療を始める「初期療法」が選択されることがあります。
抗アレルギー点眼薬などを適切な時期から使用することで、シーズン中の症状を抑えやすくなる場合があります。
なぜ目をこするのは避けた方がいい?
角膜や結膜への刺激になる
強いかゆみがあると、無意識に目をこすってしまうことがあります。しかし、強くこすることで角膜や結膜を刺激し、炎症や異物感がさらに強くなることがあります。
手には細菌やウイルスなどが付着していることもあるため、できるだけ目に触れないことが大切です。
慢性的な強い摩擦と円錐角膜との関連
慢性的に強く目をこする習慣は、円錐角膜との関連が知られています。特にアレルギー性結膜炎などで頻繁に目をこする方は、強い摩擦を繰り返さないよう注意が必要です。
目をこすっただけで必ず円錐角膜などの眼疾患になるわけではありません。ただし、強くこすることを繰り返す習慣は避けましょう。

花粉症による目のかゆみに使われる点眼薬
抗アレルギー点眼薬
花粉症による目のかゆみには、抗アレルギー点眼薬がよく使用されます。薬の種類によって作用や使用回数が異なるため、処方された場合は指示どおりに使用しましょう。
ステロイド点眼薬
炎症が強い場合には、医師の判断でステロイド点眼薬が使用されることがあります。
ステロイド点眼薬は炎症を抑えるために使用されますが、眼圧上昇などの副作用が起こることがあるため、眼科で経過を確認しながら使用することが大切です。
市販薬を使用するときの注意点
市販薬にも抗アレルギー成分を含むものがあります。ただし、目のかゆみや充血の原因は花粉症だけとは限らず、症状に合った薬を自分で判断するのが難しい場合があります。
長期間使用しても症状が改善しない場合や、強い充血・痛み・見えにくさがある場合は、市販薬だけで様子を見続けず眼科を受診してください。
点眼薬の正しい使い方
点眼する前に手を洗う
点眼前は石けんで手を洗い、清潔な状態にします。容器の先端が目やまぶた、まつ毛に触れると、薬液が汚染される原因になるため注意してください。
基本的には1滴で十分
下まぶたを軽く引き、容器の先端が目やまつ毛に触れないようにして1滴入れます。
目の表面に保持できる薬液量には限りがあるため、通常は1回1滴で十分です。複数滴入れても、あふれた分が有効に作用するわけではありません。
点眼後は静かに目を閉じる
点眼後に何度もパチパチとまばたきをすると、薬液が涙と一緒に流れやすくなります。
点眼後は静かに目を閉じ、あふれた薬液は清潔なティッシュなどで軽く押さえるように拭きましょう。
必要に応じて目頭を軽く押さえる
点眼後に目頭付近を軽く押さえることで、薬液が鼻へ流れ込む量を減らす方法があります。薬によって注意点が異なるため、処方時の説明に従ってください。
複数の点眼薬は間隔を空ける
2種類以上の点眼薬を続けて使用すると、先に入れた薬が流れ出てしまうことがあります。
使用する順番や間隔は、医師・薬剤師の指示に従ってください。特別な指示がない場合は、一般的に5分程度の間隔を空けます。
日常でできるセルフケア
メガネやマスクで花粉の侵入を減らす
花粉対策用メガネや通常のメガネを使用することで、目に入る花粉を減らせる場合があります。
帰宅後は顔やまぶた周辺を清潔にし、衣類についた花粉も室内へ持ち込みすぎないようにしましょう。
かゆいときは、まぶたを軽く冷やす
目をこすりたくなるほどかゆいときは、清潔な冷たいタオルを閉じたまぶたの上に短時間当てると、かゆみが和らぐ場合があります。
保冷剤を使用するときは直接まぶたに当てず、タオルなどで包んで使用してください。
人工涙液を使う場合
防腐剤を含まない人工涙液は、目の表面をうるおすだけでなく、付着した花粉を洗い流す目的でも使用されます。
抗アレルギー点眼薬を使用している場合は、治療薬を洗い流さないよう、先に人工涙液を使用する方法があります。点眼薬の使用方法について指示を受けている場合は、その指示を優先してください。
一方、カップ式の洗眼液は、目の周囲についた花粉や汚れまで目の表面に触れさせる可能性があります。頻繁な使用は避け、使用する場合は製品の用法・用量を守ってください。
コンタクトレンズを使用している場合
目のかゆみ・充血・目やにが強いときは、コンタクトレンズの装用を中止してメガネに替え、目の状態を確認することが大切です。
点眼薬によってはコンタクトレンズを外して使用する必要があるため、添付文書や医師・薬剤師の指示を確認してください。
まとめ
花粉症による目のかゆみは、仕事や勉強、日常生活にも影響することがあります。
特に大切なのは、強く目をこすらないこと、点眼薬を正しく使うこと、症状が強い場合は眼科へ相談することです。
毎年花粉症に悩まされる方は、症状が強くなってから我慢するだけでなく、花粉の飛散時期や症状に合わせて早めに対策を検討しましょう。
本記事の参考文献・出典
花粉症による目の症状や治療は、症状の程度や目の状態によって異なります。治療薬は医師・薬剤師の指示や各製品の添付文書に従って使用してください。

たなか 視能訓練士(ORT)
眼科医療の現場で10年以上、子どもの視力検査や近視関連の検査に従事。検査室で実際に受ける相談や、保護者が誤解しやすいポイントをもとに、専門的な内容をできるだけ分かりやすく解説しています。
※本記事は一般的な医療情報の提供を目的としており、特定の診断や治療効果を保証するものではありません。治療の開始・継続・中止については自己判断せず、必ず眼科医などの医療専門職に相談してください。