「目が急に真っ赤になった」
「目やにがたくさん出て、朝起きると目が開けにくい」
このような症状があるときに考えられる病気の一つが、はやり目(流行性角結膜炎)です。
流行性角結膜炎はアデノウイルスによって起こる感染性の高い結膜炎で、家庭や学校、職場などで感染が広がることがあります。
特に気になるのが、「仕事はいつから行っていい?」「保育園や学校は何日休めばいい?」という点ではないでしょうか。
実は、大人の仕事、学校、保育園では復帰の考え方がそれぞれ異なります。
この記事では、はやり目の症状や潜伏期間、感染経路、治療に加えて、仕事への復帰時期や保育園・学校へ戻る基準について、公的機関や診療ガイドラインの情報をもとに分かりやすく解説します。
はやり目では、症状だけでなく周囲へ感染を広げないための対応が重要です。
- 潜伏期間は8〜14日程度とされています
- 手指やタオルなどを介して感染が広がることがあります
- 大人の仕事には全国一律の法的な出勤停止日数はありません
- 学校では、医師が感染のおそれがないと認めるまで出席停止となります
- 保育園では「結膜炎の症状が消失していること」が登園のめやすです
はやり目(流行性角結膜炎)とは?
はやり目(流行性角結膜炎)は、主にアデノウイルスによって起こる感染性の高い結膜炎です。
感染するとすぐに症状が出るわけではありません。国立健康危機管理研究機構では、流行性角結膜炎の潜伏期間を8〜14日程度としています。
花粉やハウスダストなどが原因となるアレルギー性結膜炎とは異なり、流行性角結膜炎は人から人へ感染する病気です。
感染力が強く、家庭内だけでなく、学校や職場、医療機関などで集団感染につながることもあります。
目が赤いからといって、すべてがはやり目とは限りません。細菌性結膜炎やアレルギー性結膜炎、角膜の病気などでも充血や目やには起こります。見た目だけで原因を判断しないことが大切です。
はやり目の主な症状

流行性角結膜炎では、次のような症状がみられます。
強い充血や目やに
白目が赤く充血し、目やにや涙が増えることがあります。朝起きたときに、目やにでまぶたが開きにくくなることもあります。
まぶたの腫れや異物感
まぶたが腫れたり、「目に砂が入っているような感じ」「ゴロゴロする」といった異物感を伴ったりすることがあります。
耳の前のリンパ節の腫れ
耳の前にあるリンパ節が腫れたり、押すと痛みを感じたりすることがあります。流行性角結膜炎でみられることのある所見ですが、これだけで診断できるわけではありません。
最初は片目だけに症状が現れ、その後もう片方の目にも症状が出ることがあります。
ただし、必ず両目に発症するとは限りません。
炎症が角膜まで及ぶと、目の痛みやまぶしさ、異物感、かすみ、見えにくさなどが生じることがあります。
流行性角結膜炎では多発性角膜上皮下浸潤と呼ばれる角膜の濁りが生じ、結膜炎が改善したあとも見えにくさなどが続く場合があります。
はやり目の感染経路と家庭内での予防方法
流行性角結膜炎では、感染した人の目やにや涙などに含まれるウイルスが、手指や物を介して広がることがあります。
たとえば、感染した人が目を触った手でドアノブやタオルなどに触れ、その場所を別の人が触ったあとに自分の目を触ることで感染する可能性があります。
家庭内で感染者が出た場合は、特に次の点に注意しましょう。
タオルを共有しない
顔や手を拭くタオル、ハンカチなどの共用は避けます。目やにや涙を拭く場合は、ティッシュペーパーなどの使い捨てできるものを使用し、使用後はすぐに捨てましょう。
石けんと流水で手を洗う
目を触ったあとや点眼したあとなどは、石けんと流水で丁寧に手を洗います。感染した本人だけでなく、同居している家族もこまめな手洗いを心がけることが大切です。
できるだけ目を触らない
感染した目を触った手から、反対の目や周囲の人へウイルスが広がる可能性があります。目をこすることは避け、目やにを拭く場合も手洗いを徹底しましょう。
「目薬を使っているから、もう人にはうつらない」とは限りません。治療を始めたことと感染性がなくなったことは別です。症状が残っている間は、感染対策を続けることが重要です。
大人がはやり目になったら、いつから仕事に復帰できる?
大人が流行性角結膜炎になった場合、「何日休めば仕事に戻れるのか」が気になる方も多いと思います。
学校とは異なり、一般の職場について、全国一律の法律上の出勤停止日数が定められているわけではありません。
ただし、これは「症状があっても出勤してよい」という意味ではありません。
日本眼科医会では、流行性角結膜炎では発病から約2週間は感染の危険があると案内し、感染を広げないため原則として仕事を休むよう呼びかけています。
実際の仕事復帰の時期は、目の状態や仕事内容、勤務先の感染対策ルールなどによって異なります。
「発症から○日」だけで判断しない
「1週間経ったから大丈夫」「2週間経ったから必ず出勤できる」と、日数だけで自己判断するのは避けましょう。診察した眼科医に、感染性や仕事復帰について確認してください。
仕事内容や勤務先のルールも確認する
医療、介護、保育、接客など人との接触が多い仕事では、職場独自の就業制限や感染対策が定められている場合があります。眼科医の指示とあわせて、勤務先にも確認しましょう。
はやり目の治療方法
流行性角結膜炎の原因となるアデノウイルスに対して、現在、一般的にウイルスそのものを直接排除する特異的な治療薬があるわけではありません。
そのため、基本的には症状や目の状態に応じた治療が行われます。
炎症や角膜の状態に応じて点眼薬を使用する
炎症が強い場合や、流行性角結膜炎に伴う角膜の上皮下浸潤などがみられる場合には、医師の判断でステロイド点眼薬が使用されることがあります。
抗菌薬はアデノウイルスそのものには効かない
抗菌薬は細菌に対する薬であり、流行性角結膜炎の原因となるアデノウイルスそのものを治療する薬ではありません。角膜上皮の障害が強い場合や、細菌による二次感染への対応が必要と判断された場合などに使用されることがあります。
点眼薬の種類は、結膜や角膜の状態によって変わります。以前処方された目薬を自己判断で使ったり、市販の充血用目薬だけで長期間様子を見たりせず、症状が強い場合は眼科を受診してください。
子どもは保育園・学校へいつから行ける?
子どもの場合は、学校と保育園で基準の根拠が異なるため、分けて考える必要があります。
学校は医師が「感染のおそれがない」と認めるまで
流行性角結膜炎は、学校保健安全法施行規則で第三種の感染症に分類されています。
出席停止期間の基準は、「病状により学校医その他の医師において感染のおそれがないと認めるまで」です。
インフルエンザのように、「発症後○日」といった全国一律の日数が決められているわけではありません。
そのため、症状が軽くなったからといって自己判断で登校を再開せず、医師や学校の指示を確認してください。
保育園は「結膜炎の症状が消失していること」が登園のめやす
こども家庭庁の「保育所における感染症対策ガイドライン」では、流行性角結膜炎にかかった乳幼児の登園のめやすとして、「結膜炎の症状が消失していること」が示されています。
ただし、実際の登園手続きや提出書類については、園や自治体によって運用が異なる場合があります。
「全国すべての保育園で登園許可証が必須」というわけではないため、通っている保育園に確認してください。
幼稚園は学校保健安全法上の「学校」に含まれるため、保育園とは基準の考え方が異なります。「保育園なのか幼稚園なのか」も確認したうえで、施設と医師の指示に従いましょう。
はやり目のよくある質問
はやり目は何日くらいで治りますか?
ただし、症状の強さや経過には個人差があります。角膜に上皮下浸潤などが生じた場合には、結膜炎が改善したあとも、かすみやまぶしさなどが続くことがあります。
市販の目薬だけで治せますか?
充血や目やには、流行性角結膜炎だけでなく、細菌性結膜炎やアレルギー性結膜炎、角膜の病気などでも起こります。治療方法も目の状態によって異なるため、強い充血や大量の目やに、痛み、まぶしさ、見えにくさがある場合は眼科を受診してください。
はやり目は片目だけで終わることもありますか?
片目だけの充血でも、目やにや腫れが強い場合、痛み・まぶしさ・見えにくさがある場合は眼科で原因を確認してください。
2週間休めば必ず仕事に戻れますか?
日本眼科医会では流行性角結膜炎の感染の危険は発病から約2週間あると案内していますが、実際の感染性や症状には個人差があります。仕事内容や勤務先の規定も関係するため、眼科医と勤務先に確認してください。
まとめ|はやり目は日数だけで仕事・登園・登校を判断しない
はやり目(流行性角結膜炎)は、アデノウイルスによって起こる感染性の高い結膜炎です。
強い充血や目やに、まぶたの腫れなどがみられ、角膜まで炎症が及ぶと、痛みやまぶしさ、かすみ、見えにくさなどが続くこともあります。
家庭内では、タオルを共有しない・石けんと流水で手を洗う・できるだけ目を触らないといった基本的な感染対策が重要です。
また、仕事・学校・保育園では復帰の考え方が異なります。
- 大人の仕事:全国一律の法定日数はなく、眼科医の判断や勤務先の規定を確認する
- 学校・幼稚園:医師が感染のおそれがないと認めるまで出席停止
- 保育園:結膜炎の症状が消失していることが登園のめやす
「何日経ったから大丈夫」と自己判断するのではなく、目の状態や仕事内容、学校・園のルールに合わせて判断してください。
急な強い充血や大量の目やに、目の痛み、まぶしさ、見えにくさなどがある場合は、市販薬だけで様子を見続けず眼科を受診しましょう。
本記事の参考文献・出典

たなか視能訓練士(ORT)
眼科医療の現場で10年以上、小児から高齢者まで幅広い眼科検査に従事。臨床経験と公的機関・学会・診療ガイドラインなどの情報をもとに、目に関する内容をできるだけ分かりやすく解説しています。
※本記事は一般的な医療情報の提供を目的としており、個別の診断や治療を代替するものではありません。症状や治療、仕事・登園・登校の再開時期については、診察した医師や勤務先、学校、保育施設などの指示を確認してください。