「子どもの近視用メガネを作ることになったけれど、どこへ行けばいいの?」
「普通のメガネ店で作っても大丈夫?」「眼鏡作製技能士がいるお店を選んだほうがいい?」と迷う保護者の方もいると思います。
特殊な構造をもつ小児の近視用メガネレンズを検討するときは、まず眼科で診察を受け、眼科医の処方・指示に基づいて取扱店で作製することが大切です。
そのうえで、眼鏡作製技能士が在籍しているか、使用するレンズを取り扱っているか、購入後もフィッティング調整を受けられるかを確認すると、お店を選びやすくなります。
日本眼科学会では、このような多分割レンズについて「近視管理用眼鏡(多分割レンズ)ガイドライン」を公表し、処方・作製・フィッティング・経過観察などについて示しています。
子どもの近視用メガネはどこで作ればいい?
特殊な構造をもつ小児の近視用メガネレンズを検討している場合、いきなりメガネ店へ行ってレンズを選ぶのではなく、まず眼科で相談しましょう。
日本医用光学機器工業会の販売自主基準では、このようなレンズについて、眼科医療機関への受診を確認したうえで、眼鏡処方箋に基づいて販売することが示されています。
眼科では、近視の程度だけでなく、視力や屈折の状態、眼に病気がないかなどを確認し、その子に必要な眼鏡について判断します。
そもそも「学校の視力検査で視力が下がった=すぐ特殊なレンズが必要」というわけではありません。
たとえばHOYAの「ミヨスマート」は、眼科医の診断により必要と判断された場合に処方箋が出され、その処方箋を持って取扱店で作製する流れが公式に案内されています。
眼鏡作製技能士がいる店を確認したい理由
お店選びの判断材料のひとつになるのが、「眼鏡作製技能士」が在籍しているかどうかです。
眼鏡作製技能士は、技能検定「眼鏡作製職種」に合格した人が名乗ることのできる国家検定資格です。
日本眼科学会の「近視管理用眼鏡(多分割レンズ)ガイドライン」では、レンズの構造や作用機序に関する知識と高精度な加工技術を持つ眼鏡作製技能士が作製することが望ましいとされています。
特殊な構造をもつレンズでは、処方された内容に沿った作製に加えて、レンズの位置やフレームの調整も重要です。
ただし、眼鏡作製技能士が在籍していれば、それだけでどの製品でも作製できるという意味ではありません。
製品によって取扱条件は異なります。たとえばミヨスマートでは、メガネ店が取り扱うためにHOYAのメガネ店向け講習を受講する必要があります。
そのため、「眼鏡作製技能士がいるか」だけでなく、「処方されたレンズを取り扱っているか」も確認しましょう。
小児の近視用メガネはフィッティングも重要
特殊な構造をもつ小児の近視用メガネレンズでは、処方された度数で正しく作製することに加えて、子どもの顔に合わせて適切にフィッティングすることが重要です。
日本眼科学会のガイドラインでは、フレーム決定後にプレフィッティングを行い、瞳孔間距離を参考に片眼ずつ光学中心の位置を決定して作製することが示されています。
また、子どもの顔に合い、調整ができ、下方へずれにくいフレームを選ぶことも重要です。
使用しているうちにメガネが鼻側へずれたり、フレームが変形したりすることもあります。特に子どものメガネは、運動や遊びなどで購入時とは状態が変わることがあるため、その後の調整も大切です。
お店選びで確認したい3つのポイント
「結局、どんなメガネ店を選べばいいの?」という方は、次の3点を確認してみてください。
処方されたレンズの取扱店か
まず確認したいのは、眼科で処方された製品を取り扱っているかどうかです。製品によって取扱条件が異なるため、メーカー公式サイトの店舗検索なども利用できます。
眼鏡作製技能士に相談できるか
日本眼科学会のガイドラインでは、近視管理用眼鏡は眼鏡作製技能士が作製することが望ましいとされています。在籍しているか、実際に担当してもらえるかを確認しておくとよいでしょう。
購入後も調整に通いやすいか
子どものメガネは、使用しているうちにフレームが広がったり、鼻側へ下がったりすることがあります。定期的にフィッティングを確認してもらえる、通いやすい店舗を選ぶことも大切です。
有名なチェーン店か個人店かだけで判断する必要はありません。
店舗の規模よりも、「処方された製品を扱っている」「適切に作製・フィッティングしてもらえる」「購入後も調整してもらえる」という条件を確認することが重要です。
購入するときに確認したいこと
実際にメガネを作るときは、レンズだけではなくフレームの状態も確認してもらいましょう。
メガネが下がりにくいか
普通に立った状態だけでなく、少し顔を動かしたときにも大きくずれないか確認します。
フレームのサイズが顔に合っているか
大きすぎるフレームはずれやすくなります。日本眼科学会のガイドラインでも、瞳孔中心がフレーム開口部のほぼ中央に位置するフレームが望ましいとされています。
痛みや強い圧迫感がないか
「ずれないように」と締めすぎるのもよくありません。耳の後ろやこめかみ、鼻に強い圧迫感がないか確認します。
購入後の調整について確認する
フィッティング調整に費用がかかるのか、予約が必要なのか、どのくらいの頻度で点検すればよいのかも聞いておきましょう。
購入後も定期的な調整が必要
小児の近視用メガネレンズは、作った時点で終わりではありません。
子どもが毎日使っていると、フレームが少しずつ広がったり、鼻パッドの位置が変わったりして、購入時とはフィッティングが変わることがあります。
また、子どもの成長によって顔の大きさも変化します。
日本医用光学機器工業会の販売自主基準では、眼科医の定期検査を受けることに加えて、眼鏡店などでフィッティングを含む定期的な眼鏡の点検を受けることが示されています。
ミヨスマートについては、HOYAがメガネ店に対して3か月を目安に調整するよう案内しています。
眼科で目の状態や近視の変化を確認することと、メガネ店で眼鏡の状態を確認することは役割が異なります。
眼科とメガネ店の両方で定期的に確認していくことが大切です。
子どもの近視用メガネのお店選びでよくある質問
普通のメガネ店でも作れますか?
A.使用するレンズを取り扱っている店舗であれば作製できますが、製品によって取扱条件が異なります。
たとえばミヨスマートでは、メガネ店が取り扱うためにHOYAの講習を受講する必要があります。眼科で処方された製品名を伝え、取扱いがあるか確認してください。
眼鏡作製技能士がいれば絶対に安心ですか?
A.資格は重要な判断材料ですが、資格だけで店舗を決める必要はありません。
対象レンズの取扱経験、子どものフレーム選びやフィッティング、購入後の調整体制なども合わせて確認しましょう。
鼻パッドやフィッティングは重要ですか?
A.はい。鼻パッドはメガネの高さや安定性に関わるため、適切なフィッティングを保つうえで重要です。
子どもの鼻の形に合い、メガネが頻繁に下がらないか、痛みや強い圧迫感がないかを確認してもらいましょう。
子どもが「ちゃんと見えている」と言えば調整は不要ですか?
A.見え方だけでフィッティングの良し悪しを判断することはできません。
視力に問題がなくても、フレームが変形したり、レンズの位置が購入時から変わったりしていることがあります。定期的にメガネ店で状態を確認してもらいましょう。
小児の近視用メガネレンズはネットで購入できますか?
A.特殊な構造をもつ小児の近視用メガネレンズでは、眼科での診察や処方に加えて、フレームをかけた状態でのセンタリングやフィッティングが重要です。
製品によっては眼科医の処方箋に基づいて取扱店で作製します。まず眼科で相談し、処方された製品の販売方法に従ってください。
迷ったら「眼科・取扱店・技能士・アフターケア」を確認しよう
子どもの近視用メガネをどこで作るか迷ったときは、店舗の知名度や価格だけで決める必要はありません。
まず眼科で目の状態を確認し、必要な眼鏡について相談します。
特殊な構造をもつ小児の近視用メガネレンズが処方された場合は、次の順番で確認すると分かりやすいでしょう。
眼科で診察・処方を受ける
視力や屈折の状態などを確認し、眼科医から使用するレンズについて説明を受けます。
処方されたレンズの取扱店を探す
メーカー公式の店舗検索なども利用し、処方された製品を扱っている店舗を確認します。
眼鏡作製技能士やフィッティング体制を確認する
資格の有無だけでなく、処方されたレンズを適切に作製・調整してもらえる体制があるかを確認します。
購入後も眼科とメガネ店へ定期的に通う
眼科では目や視力の状態を、メガネ店ではフレームやフィッティングを確認してもらいましょう。
大切なのは「どこで買うか」だけではありません。眼科医の処方・指示に基づいて作製し、その後も眼科とメガネ店で定期的に状態を確認できる環境を選ぶことです。
参考文献・出典
- 日本医用光学機器工業会:「特殊な構造をもつ小児の近視用眼鏡レンズ」販売自主基準(第1版)
国内での製品の位置づけ、眼科医の処方・指示に基づく販売、定期的な眼鏡点検について参照。 - 日本眼科学会:近視管理用眼鏡(多分割レンズ)ガイドライン(第1版)
多分割眼鏡レンズの処方、作製、フィッティング、経過観察について参照。 - HOYA ビジョンケア:ミヨスマート 一般の皆さまへ
小児の近視用メガネレンズとしての製品情報、眼科での処方、取扱店での作製について参照。 - HOYA ビジョンケア:ミヨスマート メガネ店の皆さまへ
取扱講習、眼鏡作製技能士、購入後の調整について参照。 - 厚生労働省:技能検定制度について
眼鏡作製技能士に関する技能検定制度について参照。 - 公益社団法人 日本眼鏡技術者協会
眼鏡作製技能士の資格制度について参照。

たなか 視能訓練士(ORT)
眼科医療の現場で10年以上、子どもの視力検査や近視関連の検査に従事。検査室で実際に受ける相談や、保護者が誤解しやすいポイントをもとに、専門的な内容をできるだけ分かりやすく解説しています。
※本記事は、子どもの近視用メガネレンズに関する一般的な情報提供を目的としています。海外で近視進行抑制を目的として販売されている製品もありますが、国内では近視進行抑制の効果は承認されていません。製品の適否や使用方法はお子さんによって異なるため、眼科医の診察を受け、処方・指示および各製品の添付文書・取扱説明書に従ってください。